春は何かを始める季節である。いろいろな習い事を始める方もおられるだろう。新しく何か語学を、とお考えの方もいるかもしれない。

 英語をブラッシュアップさせたいという方もいれば、中国語、韓国語、あるいはこのロシア関係のコラムから入ってきた皆さまの中にはロシア語をという方もおられるかもしれない。

 ロシア語の持つ情報量の奥深さに助けられている私としてはぜひと言いたいところだが、今回はさらにマイナーな言語の世界に、皆様を招待したいと思う。

マイナー言語を学ぶことの効用

 モンゴル語のような独立した国家の言語をマイナー言語と呼ぶべきかどうかというと、世の中にはもっとマイナーな言語があり難しいところであるが、とりあえず、人口的にも経済的な力のうえでも、それでも強くない言語と考えてお話しする。

ニュージャージー州ハウエルにある仏教寺院

 大学で社会と言語の関係を考える授業を担当しているが、そこでよく学生にこう聞かれることがある。

 英語のほかに役に立つ言語はありますか?

 大体期待されている答えは、昔から大学の第2外国語にあるロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、アジアの言語では中国語、韓国語、アラビア語であろう。

 思えば、NHKのラジオやテレビの語学講座はこのような想定される期待によく応えている。

 その他の言語は役に立つ言語ではないのだろうか?

 実はそんなことはないと思う。私はモンゴル語とモンゴル語系のブリヤート語やカルムイク語を学んだが、彼らの住む領域だけでなく、世界のあちこちで話す機会に恵まれた。