3月下旬、私は地下鉄に乗ってちょっと変わった中吊り広告に気づきました。
「日本初のスマホ向け放送局? NOTTV(ノッティーヴィー)?」という広告が車内を占領していたのです。「あ、ネタにしなければ」と、私はポケットからスマホを取り出しました。
大失敗に終わりそうな“放送”「NOTTV」
ところが、、、なんと私のスマホではNOTTVは見ることができないのでした。
よくよく調べてみると、NOTTVは携帯電話網や一般のインターネットを使用した「通信」ではなく、あくまで電波を使用した「放送」であり、視聴するには下記の条件が必要だと分かりました。
(1)NTTドコモの携帯電話を契約している。
(2)対応アンテナを内蔵した専用スマホを所有している。
(3)月額420円の受信料を支払う。
■「日本初のスマホ向け放送局」NOTTV
いろいろ調べてみると「スマホ向け“放送”局」というところが、そもそものボタンの掛け違いなんじゃないかと思えてきます。
現在普及しているスマホとは「インターネットのパケット“通信”に対応した携帯端末」であり、動画も音楽もテキストも全て同じ手順で送ることができます。だからこそ、単純な構造にもかかわらず魔法のようなサービスを次々と生み出しているのです。
しかし、NOTTVはインターネットの手順ではなく、テレビやラジオと同じような電波を使った“放送”なのです。
放送というのは、対象エリアに大量の端末が供給されていないと成立しないビジネスモデルです。上記の(1)(2)(3)の制限がある状態で、放送のビジネスモデルが成立するとは考えにくいと思います。
NOTTVを開局したmmbiでは初年度100万契約を目指すと言っているようですが、この目標を達成するのはかなり難しいのではないでしょうか。今後何らかの大きな戦略の見直しをしない限り、NOTTVは失敗に終わる可能性が高いと思います。
資本金248.9億円。NTTドコモ、テレビ局、広告代理店、メーカー、商社など、日本の情報産業がオールジャパンで取り組んでいるようですので、奮起を期待したいところです。
“通信”型の有料チャンネルが続々登場
一方で、既存のテレビ局は、新しいサービスとしてドラマやドキュメントなどのネット配信を始めています。
これらの多くは有料サービスであり、お金はかかるものの、NOTTVとは違って、“通信”型ビジネスモデルですので、スマホを買い換えなくても楽しめます。