4月13日午前、北朝鮮は、国際社会の非難の声を無視して「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射を強行した。だが発射後、1分程度飛行した後、洋上に落下し、打ち上げは失敗に終わった。
米国の早期警戒衛星からの発射情報は得られたが、航空自衛隊の「FPS-5レーダー」や海上自衛隊のイージス艦「SPY-1レーダー」は捕捉、確認するには至らなかったようだ。
ミサイルの高度不足が探知不能の原因
赤道上に停止する早期警戒衛星はミサイルの噴射を探知する。その情報を受け、空自、海自のレーダーは、丸い地球の水平線上にミサイルが上昇してくるのを待ち受け、これを補足、確認する。だが、今回はミサイル自体がその高度まで上昇できなかったようだ。
発射確認が遅かった、あるいは発射情報が流されなかったとかマスコミは喧しい。レーダーで探知できるまで上昇していないのだから、当然、発射確認はできない。
レーダーで探知、確認しないまま、米国からの早期警戒衛星情報を公に垂れ流すわけにはいかない。政府の説明要領が悪いだけで、発射確認については遅れて当然なのだ。
自民党までが一連の遅延について、政府の責任を問うと騒いでいる。ここまで日本政治の質も低下し、ワイドショーなみになってきかと暗然たる気分になる。
こういった枝葉末節に大騒ぎするのではなく、国会では今回の自衛隊の行動について、もっと重要で本質的な議論をしてもらいたい。
2009年3月27日、北朝鮮が「光明星2号」の打ち上げを予告した際、当時の浜田靖一防衛大臣が初めて「破壊措置命令」を発令した。今回は2度目のせいか、国民もマスメディアも当たり前のようで、誰一人この法律について疑問を呈しない。
筆者はこの法律は、自衛隊の行動に係わる法体系全体の重要な問題を投影していると考えている。
経過を振り返ってみよう。田中直紀防衛大臣は4月30日、4月12日~16日に予定される「人工衛星」と称する北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対し、ミサイル本体や部品が日本の領土、領海に落下する事態に備え、迎撃態勢を敷くための破壊措置命令を発令した。