日本はどう対処すればよいのか?

 それでは日本としては、これにどのように対処したらよいのだろうか。

 これまで見てきたように、ハイブリッド戦とは、軍事、外交、政治、経済、社会、情報など複数の分野における様々な手段を複合させて、最終的に狙っていた目的を達成しようとするものである。

 これに有効に対処するためには、様々な分野で並行して行われている工作をすべて把握した上で、それが何を狙っているのかを総合的に判断し、各分野で的確な対処策を打ち出していけるような司令塔を含む対処体制が必要とされる。

 そして各種手段が国際的な空間的広がりをもって展開されることから、対処する側も同じ目的を共有する国・地域で連携していくことが重要であろう。

 中国による台湾の強制的統一を阻止するという目的のためには、日米台のみならず、オーストラリア、韓国、フィリピンなども含めた協力を進めていくことが望ましい。

 各種のハイブリッド脅威事案に関する情報共有、対処の教訓共有を行うとともに、適切な場合には共同の対処策を講じることで、それぞれの社会が抱える脆弱性を克服し、強靭性を高めていくことが可能になる。

 多くのハイブリッド攻撃手段は匿名性が高く実行者の特定が困難だが、社会の強靭性を高めて軽微な手段を無効化することで、攻撃側はより大胆な手段を採らざるを得なくなる。

 これに対して各国・地域が連携してその実行者と狙いを暴き、国家的関与が明らかになった場合には、できる限り協力して制裁的な対応を取っていくことが有効となろう。

 以上、紙幅の関係もあり、個々のハイブリッド攻撃手段とそれに対抗する手段の細部については触れることはできなかったが、中曽根平和研究所の報告書は、それらを克明に列挙して具体的に論じている。
 
 国民の中で、このすでに始まっているハイブリッド戦に関する認識が高まり、国全体としての有効な対処策が進展していくことを願うものである。