台湾強制統一に向けた2種類のハイブリッド戦要領
それでは、中国が本格武力侵攻に至らないハイブリッド戦によって台湾を強制統一しようとする際に、その具体的な要領はどのようになるのだろうか。
その要領として、いわば懐柔路線と強硬路線と呼べる2つの異なる方法が考えられる。
懐柔路線とは、貿易や投資などの経済的実利と封鎖を匂わせる軍事演習による威嚇など、アメとムチの各種手段を併用して、台湾に中国に従順な政権を成立させ、統一に向かわせるというものである。
いったん従順な政権が成立したならば、中国本土からの介入を強化し、香港において実施したように反中派に対する弾圧を行って強圧的な手法で統一を達成することが懸念される。
もう一つの要領である強硬路線とは、台湾の人々を全体として中国寄りに向かわせることが困難だとの判断の下に、台湾内の対立を煽って社会的不安定を助長し、究極的には内乱状態を作為するというものである。
その混乱の中で、状況によっては親中派が打ち立てた政府の要請により、人民解放軍が介入して反中派の鎮圧にあたり、統一に向かうことも考えられる。
中国にとってよりコストとリスクが小さいのは懐柔路線であろうが、香港における一国二制度の有名無実化を目の当たりにしている台湾の人々は、警戒心を強めている。
そのような状況を踏まえて、むしろ今は台湾内の対立を煽る強硬路線を追求しているようにも思われる。
しかし、例えば今後、中国経済が持ち直し、逆に西側の経済が低迷するようなことがあるならば、再び懐柔路線を追求できるような条件が整うことも考えられないわけではない。
中国としては、懐柔路線と強硬路線を柔軟に切り替えて、したたかなハイブリッド戦を展開してくるのではないだろうか。