男性皇族が減り、皇位継承に支障が出る懸念
皇室典範の改正を視野に入れた公の動きは、2000年代前半、小泉純一郎政権のときに始まりました。
日本の皇室では、2019年に退位された上皇陛下(明仁さま、在位中の元号は平成)の第2子である秋篠宮皇嗣殿下(秋篠宮文仁親王、秋篠宮さま)が1965年にお生まれになって以降、男性皇族が誕生しない時期が続きました。このため、若年の男性皇族が不足し、将来の皇位継承に支障が出かねないとの懸念が浮上してきたのです。そして、首相の私的諮問機関として「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、17回に及ぶ会合を経て2005年11月に報告書が提出されました。
報告書は、皇室制度の在り方を考える視点として、①国民の理解と支持を得られること、②伝統を踏まえること、③安定した制度であること、という3点を提示。そのうえで、「皇位継承資格」「皇位継承順位」「皇族の範囲」に関して提言をまとめました。その内容は下表の通りです。
図表:フロントラインプレス作成
最大のポイントは、皇位継承者として「女性」を認めてはどうか、という方向性を示したことでしょう。女性天皇に関する本格的な議論は、ここが出発点となりました。
この報告書が出た後の2006年、秋篠宮さまと同妃紀子さまの長男・悠仁親王殿下(悠仁さま)がお生まれになりました。宮内庁によると、皇室を構成するのは現在16人です。そのうち、皇位継承資格を持つのは3人。皇室典範に基づく皇位継承の順番では、秋篠宮さま(60歳)、悠仁さま(19歳)、上皇さまの弟である常陸宮正仁親王(常陸宮さま、90歳)となります。
皇位継承は、とくに平成の天皇が退位して上皇となられた2019年ごろから喫緊の課題として、さらに重視されるようになってきました。
前述したように、現在の皇室典範は天皇になることのできる皇族を「男系男子」に限定していますが、小泉政権時代の有識者会議の提言から20年ほどが過ぎ、「皇室典範に則った皇位継承がいよいよ難しくなるかもしれない」という危機感が広がってきたからです。