減税終了とともにインフレ率は再び押し上げられ…

 いったんゼロにした消費税を2年後に戻す際にも現場には負担がかかる。さらに厄介なのは、食品の税率が再び引き上げられる時に国民が「負担増」を感じないかという問題だ。消費税を元に戻す代わりに高市政権が改革の本丸とする「給付付き税額控除」に引き継ぐとしても、食品は身近で購入頻度が高いため、増税による値上がりは数字以上の負担感をもたらす。

 みずほリサーチ&テクノロジーズは1月29日に公表したリポート「日本の食品インフレの行方」で、飲食料品にかかる消費税をゼロにした場合、CPI総合を1.5%ポイント引き下げる効果が見込まれ、流通段階でのマージン率引き上げがなければ食品の価格上昇圧力を吸収できると試算する。

 ただし、同じレポートでは、消費税減税によってインフレ率を抑制できるのは1年間だけで、2年目に抑制効果はなくなり、減税終了とともにインフレ率は再び押し上げられると指摘している。

 実現に課題が多く、終了時にも難題が横たわる。26年度内の実現を模索する食品の消費税ゼロは高市政権にとってきわめて厄介な問題と言える。

 農漁業や食品工場、物流の分野で人手不足は深刻さを増す。中長期的にはロボットの導入などで省人化を進める対策が重要だが、それまでの間は人件費高によるコスト上昇圧力がかかり続ける。

 食料の争奪戦が世界で激しくなる中で、肥料を含めた安定確保策も急務だ。猛暑、豪雨などの異常気象や海水温上昇への対応も求められる。足元で生鮮野菜が安くなったとはいえ、天候異変による価格高騰は確実に増えている。

 消費税を一時的にゼロにしても食料インフレを作り出す構造要因に対応しなければ、食料高の重圧は収まらない。