「エンゲル係数」は44年ぶりの高さ
家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は昨年時点で44年ぶりの高さ(2人以上の世帯で28.6%)に上昇している。昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)統計が力強さを欠いたのは当然の結果だ。
帝国データバンクが食品主要195社の価格改定動向を毎月まとめる調査でも値上げの動きは一服し、4月ごろまでは落ち着いた推移となる見通しだという。しかしそれはこのところの値上げが激しかったから落ち着いたように見えるだけであろう。
実際、2月はパックご飯や飲料など674品目が値上げされ、平均値上げ率は16%になる。価格改定の多い4月はすでに2320品目の値上げが見込まれている。
値上げの理由として原材料高が圧倒的に多い状況は変わらない。その上で、人件費を理由にした値上げが年々増えている。最低賃金の上昇や食品工場の働き手を確保するための時給引き上げが、食品価格を押し上げている。

高市早苗首相は2月20日の施政方針演説の中で、2年間に限り食品の消費税をゼロとする方針について「夏前には中間とりまとめを行い、税制改正関連法案の早期提出をめざす」とした。
しかし、実現には課題が多い。赤字国債には頼らないと言明している以上、5兆円規模の代替財源の確保は必須条件だ。過度な円売りと日本国債売りを警戒するベッセント米財務長官の顔がちらつくのか、「マーケットからの信認を損なう野放図な財政政策をとるわけではない」と国債市場の反応(金利上昇)を気にするようになるなど、その姿勢に変化は見える。
さらに、小売店のレジシステムなどの修正で現場に混乱が起きないようにしなければならない。割高感が出るおそれのある外食産業の不公平感をどう解消するか、という問題もある。
現在、外食では同じ食品でも店内飲食(イートイン)は消費税率10%であるのに対し、持ち帰り(テイクアウト)は軽減税率の8%が適用されている。コンビニやスーパーで売る弁当や惣菜類も8%だ。現行の軽減税率品目の消費税率をゼロにという線引きになれば、同じ商品でも店内飲食との価格差は一段と広がる。