ルーブル高は対中輸入を有利にするため
国際通貨基金(IMF)によると、ロシアの対中貿易依存度はウクライナ侵攻の前の2021年で18%だったが、2025年1-10月期累計で32%に上昇した。特に輸入依存度は25%から41%まで上昇しており、ロシアの輸入にとって中国が不可欠な存在となっていることが分かる。
ロシアは国内で不足するモノを、中国からの輸入でカバーしている。その支払いを有利に進めるためには、特に人民元に対してルーブル高に誘導しなければならない。なぜならば、ロシアはイメージほど人民元を稼いでいないためである。
ロシアはウクライナ侵攻後、通関統計の公表を制限した。特に仕向け地別の動きが分かりにくくなったため、相手側の統計を用いてその動きを測る必要がある。そこで中国海関総署の統計よりロシアの対中貿易(中国の対ロ貿易)の動向を探ると、ロシアは2025年に、月当たり平均で20億米ドル弱の対中貿易黒字を計上している(図表2)。
【図表2】ロシアの対中貿易収支の比較 (注)3カ月後方移動平均 (出所)中国海関総署、国際通貨基金
実は国際通貨基金(IMF)の「多国間貿易統計」(DOT)からも、ロシアの二国間貿易の動向が把握できる。これと中国海関総署のデータを比較すると、前年比の輸出入の動きはほぼ一致しているが、貿易収支のポジションが逆転し、ロシアは2025年(ただし10月まで)に月当たり平均で1億米ドルの対中貿易赤字を計上した。
DOTは世界の貿易バランスを見る観点から作成されており、相応の加工がなされている。貿易収支のポジションが逆転したのはそのためだと考えられるが、収支の基調がはっきりしていれば、それが逆転することはまずない。つまり、DOTの加工程度で収支が逆転するほど、ロシアの対中貿易は拮抗しているということなのだろう。