交換性が乏しいルーブルが買われる皮肉

 結局のところ、ロシアはルーブル高で中国向けに交易条件を改善させており、むしろ交易条件の悪化を防いでいるという表現の方が正しいかもしれない。なお、ルーブル高だからロシア経済は強いという評価は妥当でない。それならばルーブルの交換性は高くなって然るべきだが、ルーブルがほしい国は果たしてどれくらいあるのか。

 為替レートは確かに需給で決まるが、国外で需要が強い通貨、つまり対外決済で利用できる通貨でなければ、真の意味で強い通貨だとは言えない。ロシアは対外支払いのために通貨高を容認し、適度に弱いルーブルを放棄せざるを得なかったというだけであり、この1年のルーブル高をしてロシア経済が強いと評価することは不正確である。

※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です

【土田陽介(つちだ・ようすけ)】
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部主任研究員。欧州やその周辺の諸国の政治・経済・金融分析を専門とする。2005年一橋大経卒、06年同大学経済学研究科修了の後、(株)浜銀総合研究所を経て現在に至る。著書に『ドル化とは何か』(ちくま新書)、『基軸通貨: ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)がある。