「責任ある積極財政」支持なら、もっと国民が国債を持ってもいい

 現在の日本国債の格付けは、投資不適格の水準からはまだ距離がある。しかし、他の先進国と比べれば、その距離は決して大きくない。

 もし日本国債が投資不適格となれば、政府だけでなく、日本企業全体の資金調達にも大きな影響が及ぶ。企業の格付けはその国の格付けを基準に考えられており、日本国債が投資不適格にされると、日本企業の格付けも投資不適格に落とされてしまう可能性があるからだ。

 そうなると、日本の政府や企業に資金を貸そうとする海外の投資家は大きく減るだろう。さらに、一度格下げの流れに入ると、そのスピードが速いことは、過去の金融市場が示している。

 したがって、「責任ある積極財政」においては、将来世代に禍根を残さないという観点からだけでなく、日本国債の格付け引き上げも意識して運営すべきであろう。格付けの「維持」ではなく「引き上げ」としているのは、万が一、大きな災害が起きて国債を大量発行する必要に迫られたときでも、投資適格の水準に踏みとどまるためだ。

 将来の国家的リスクという観点からは、災害だけでなく、安全保障も考慮しなければならない。それに関連する費用も視野に入れた財政運営こそが、「責任ある財政」であるはずだ。

 今回の総選挙の結果を見る限り、多くの国民が「責任ある積極財政」を支持したと言えると冒頭で述べた。そうした政策スタンスがうまく機能すると国民が信じたのであれば、その資金調達手段である国債を、より広く国民自身が保有してもよい、という考え方も成り立つ。

 10年続いた異次元金融緩和の結果、現状では、短期国庫証券を除く国債の発行残高の約半分を日本銀行が保有している。日本銀行の資産は、広い意味では国民の資産とも言えるが、これまで述べてきた文脈に照らせば、国民自身がより直接的に国債を保有できる資金の流れを設計してもよいのではないだろうか。