日銀の植田総裁(写真:ロイター/アフロ)
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(白木 久史:三井住友DSアセットマネジメント チーフグローバルストラテジスト)

 日銀による早期の利上げ観測が高まっています。日銀は9月の金融政策決定会合で利上げを見送りましたが、2名の審議委員が反対票を投じたことや、上場投資信託(ETF)の売却を決めたことで、金融政策の正常化が新たな段階に入ったことを印象付ける結果となりました。さらに、ハト派で知られる日銀の審議委員が「政策金利調整の必要性」について言及したことで、市場では10月29、30日に予定される次回会合での利上げ期待が一気に高まることとなりました。そこで今回は、日銀の利上げがもたらす日本株への影響と、その対処法について整理してみたいと思います。

高まる市場の「早期利上げ観測」

 日銀は9月18、19日に開催された金融政策決定会合で、政策金利の据え置きを決定しました。ただし、今回の会合がいつもと違ったのは、金融政策を決めるボードメンバーのうち高田、田村の両審議委員が金利の据え置きに反対票を投じ、さらに、大規模金融緩和の一環として購入してきた日本株ETFの売却を決定したことでした。

 金融政策としては「禁じ手」ともいえる日銀のETF購入は、デフレ脱却を目指す日本政府・日銀の「本気度」の表れと言えそうですが、金額的には少額ながら今回ETFの売却を決めたことは、金融政策の正常化に取り組む日銀の明確な「意思」を示すという意味で、アナウンスメント効果は抜群であったように思われます。

 また、審議委員の2名、特に田村審議委員が「利上げ」を主張して金利据え置きに反対したことも、市場に少なからずインパクトを与えることとなりました。というのも、2025年1月の日銀による利上げが行われる直前の、2024年12月の金融政策決定会合でも、田村委員は金利据え置きに「反対票」を投じていたからです。