インドは本当に米国から原油を輸入するのか?

 トランプ大統領は、インドがロシアからではなく米国から原油を輸入するかのように発表しているが、そうは問屋が卸さない現実がある。実際にインドの国別原油輸入量を確認すると、米国がロシアとの取引を理由にインド製品に対する関税を50%に引き上げた昨年8月以降も、インドは大量のロシア産原油の輸入を継続している。

インドの原油輸入量とその国別構成 (注)3カ月移動平均 (出所)インド商工省

 ロシアがウクライナと交戦状態に入った2022年2月以降、インドはロシアから多くの原油を輸入するようになった。主要国によって国際市場から締め出されたロシア産原油を、インドは国際価格よりも割安で輸入できたためだ。実際に、地理的に近い中東産の原油を凌ぐ勢いでロシア産原油の輸入が増加したことが、その事実を物語っている。

 すでにインドの原油輸入量の3割以上がロシア産原油である。これを中東産原油のみならず、まして米国産、さらにはトランプ大統領が一方的に含みを持たせるベネズエラ産原油に振り替えるなどまず不可能なことだ。

 もちろん、ロシア・中東産原油と比べて、米国・ベネズエラ産原油のコストが安いなら、インドは輸入を増やすだろう。だが、タンカーでの輸送コストに鑑みた場合、米国・ベネズエラ産原油がロシア・中東産原油より秀でているとは考えにくい。

 それにそもそも論として、ドル離れというかたちで米国と距離を置くインドが米国産原油の輸入を増やすだろうか。米国最優先の意思があれば、当初からモディ首相はトランプ大統領に対して融和的だったはずだ。