インドには関税カードが全く通用しなかった
トランプ大統領はインド向けの関税を50%から18%に引き下げたが、このことでインドは南アジアや東南アジアで、米国から課される関税が最も低い国となった。パキスタンは19%、バングラデシュとスリランカは20%である。東南アジアでも、ベトナムの20%をはじめ、インドネシアとマレーシア、タイは19%である。
最も低い国と比べても、わずか1%ポイントしか差はないが、それでも最大で50%もあった関税率が18%まで下がることは、ある意味で劇的だ。米国は相応に、インドに対して誠意を見せたというところだろうか。それに、トランプ大統領は強弁を張っているが、結局のところ、インドのロシア産原油の輸入を黙認するのではないか。
トランプ大統領は、圧力をかければインドが自らの描く外交戦略、特に中国やロシアに対する戦略に対して協力的になると踏んでいたのだろう。しかしインドは、圧力をかけても米国になびかないばかりか、米国から距離を置く姿勢を強めるに至っている。インドには関税カードが通用せず、逆効果を持ったためTACOとなったのではないか。
先にも述べた通り、インドがロシア産原油を放棄し、それを米国・ベネズエラ産原油で代替することなどまず考えられない。結局、これはトランプ大統領による、自身の支持者に対するアピールだろう。見返りを十分に勝ち取ったので、インド製品への関税を18%まで引き下げるというストーリーを、自らの支持者に語っているのだろう。