「どこの党も似たようなもの」というのも詭弁
さらに、この問題を複雑かつ悪質にしているのが、「どこの党も似たようなものだ」という類の言説である。
「野党だって記載ミスはある」「政治には金がかかる」といった擁護論が、SNSや「有識者」の間にも散見される。しかし、これもやはり詭弁である。
いわゆる不記載問題は、「キックバック不記載」「中抜き不記載」、そして「不注意」の可能性を排除しがたい「うっかり不記載」に大別される。
ここで明確に区別しなければならないのは、「うっかり不記載」と前二者、つまり「キックバック不記載」と「中抜き不記載」という組織的な裏金作りの違いであろう。
事務的なミスによる収支報告書の記載漏れや訂正は、自民党に限らず他党でも発生しうるだろう。それは人間が扱う以上、ゼロにはできないエラーかもしれない。なお、「うっかり不記載」で高額な案件は野党のみならず、自民党内でも普通に見つかっていることに留意したい。
しかし、令和の政治とカネ問題として、自民党安倍派等で見つかったのは、そのような次元の話ではないのである。
組織的にパーティー券の販売ノルマを超過した分を議員側にキックバックし、それを議員側の収支報告書に記載せず、派閥側においても支出として記載しないという、二重の隠蔽工作であるから、これをすなわち「裏金作り」のシステムであったと呼ばず何と呼ぶべきだろうか。
またいわゆる「中抜き」と呼ばれる、入金自体を派閥に伝えずに懐に入れる手口もあった。
このような「キックバック不記載」や「中抜き」といった悪質かつ組織的な手口が、他党において常態化していたという事実は、筆者が調査しうる限り確認されていない。もし存在するというのであれば、ぜひ教えていただきたいほどである。
このような違いを無視して、「どこの党もミスはある」と「量的」な一般論に還元してしまうことは、悪事の深刻さを隠蔽しかねないレトリックに他ならない。
そして、このような物言いが自民党議員のみならず、総理自身も口にするのである現状は憂慮すべきというほかないだろう。