金沢氏は、スポーツにおけるアナリストの役割、職業的価値と、その将来性について、鋭い指摘を行ってきた。同時に自身も「データスタジアム」で勤務しながら、アナリストを取り巻く情勢の変化に気が付き始めていた。

「球団で働く元選手以外のアナリストは2013年頃まではデータスタジアム社のようなスポーツのデータを扱う会社の関係者が多かったですが、徐々にスポーツサイエンスを学んだ人材が増え、2020年代に入ると、旧帝大出が新卒でアナリストとしてNPB球団に入るようになった。中途採用でも、一流企業のマーケティング部署でデータ分析していました、みたいな人もその前後から入ってきだした。

 選手出身でも阪神、西武の投手だった榎田大樹さんが、西武のバイオメカニクスのアナリストになったり、ソフトバンクで首位打者をとった長谷川勇也さんがR&Dグループスキルコーチ(打撃)になったりしている。

 そういう時代になると、データスタジアムでデータ分析していました、ということだけでは市場価値がそんなに評価されなくなってきた。また、仕事の領域にも限界を感じるようになった。そういうこともあって33歳で、データスタジアムから転職をしました」

四国アイランドリーグplusでデータ活用の取り組みを開始

 一線級のアナリストとして評価されてきた金沢氏だが、株式会社リクルートテクノロジーズ(現・株式会社リクルート)に転職しデータ分析環境の整備や機械学習を用いたアプリケーション開発のディレクションを担当。その後、独立して一般企業の人事をサポートするピープルアナリティクスの仕事をしている。

 その傍ら2023年からは独立リーグ・四国アイランドリーグplusのアナリティクスディレクターを務めている。

四国アイランドリーグPlusの試合(筆者撮影)

 NPBや、社会人、大学野球ではデータ野球が浸透しつつある。それぞれの規模に応じて、アナリストを採用したり計測機器を導入したりしている。

 しかし球団の予算規模が1億円ほどの独立リーグでは、情報化はほとんど進んでいなかった。機器を購入することもできないし、専属のアナリストもいなかった。

「2023年からスポーツナビで四国アイランドリーグplusの一球速報が行われるなど、独立リーグの中でもデータを活用した取り組みが進み始めていますが、四国からデータを活用する取り組みを含め、新規事業の推進役をしてほしいという依頼がありました。

 リソースに限りがある中で、僕のような外部リソースを使って環境を整備する動きを始めたということだと思います」