見当たらない妥協点
このような状況下で、ロックアウトや大規模ストライキはもはや脅し文句ではない。実務レベルでは、シーズン短縮や開幕延期、さらには開催自体が危ぶまれるシナリオまでが現実的に検討されている。MLBは静かに、しかし確実に危険水域へと近づいている。
そして労使対立の行き着く先として、現実味を帯び始めているのが「2027年シーズン消失」という最悪のシナリオだ。ロックアウトが長期化すれば、開幕延期や短縮日程にとどまらず、シーズンそのものが成立しない可能性も否定できない。関係者の間では、すでにその前提で語られる会話も増えている。
ナ・リーグ球団の編成担当者は「今回はこれまでとは空気が違う」と打ち明け、こうも続けている。
「過去の交渉では、どこかで妥協点が見えていた。だが今回は、最初から『譲らない』という前提で準備しているように見える。ロックアウトが長引くことを、どちらも想定している。今オフの移籍市場が活性化しているのは、FA以外の選手と契約を結ぶ代理人たちが次のオフからのロックアウト突入を危惧し“駆け込み移籍”を切望していることも無関係ではない」
交渉が始まる前から長期戦を織り込んだ姿勢が、事態の深刻さを物語る。