社外取は“イエスマン”、永守氏の院政も

 この永守氏の辞任プロセスについて筆者は、問題があると感じている。第三者委員会が調査中であり、状況によっては永守氏の経営責任が明らかになる可能性がある中、取締役会が簡単に辞任を認めてしまったことに関してだ。さらに言えば、非常勤とはいえ、名誉会長としてニデックとの関係がまだ残る形を許したことにも問題があるのではないか。

 永守氏やその資産管理会社がニデック株を多く保有しており、個人として大株主の立場にあるうえ、創業者として外部からは見えづらい影響力が少なからずある。うがった見方をすれば、永守氏が「院政」を行う環境が整ったとも言える。

 辞任の申し出は預かりとして、第三者委員会の調査結果次第で対応を決めるのが筋なのではないか。ニデックの取締役会は11人で構成され、このうち社外取締役は7人で過半数を超える。永守氏とのしがらみはないはずだが、辞任のプロセスなどを見ていると、経営者の暴走を防ぐ社外取の役割を果たしているとは言い難い。

 ちなみに社外取7人の構成は、財務省の元官僚が2人、外務省、文部科学省の元官僚が各1人、大学教授が2人、弁護士が1人となっている。企業経営の経験に乏しいキャリアの人ばかりが社外取に選任されている。これでは百戦錬磨の永守氏の首に鈴をつけることはできないのではないか。こうした点から見てもニデックのガバナンスには大きな課題があると言える。

 永守氏はかつて株主総会で、株主から社外取の選任基準を聞かれて「クーデターを起こされても困るが、イエスマンでも困る」と答えたことがある。しかし、これまでのニデックの社外取は永守氏のイエスマンだったのではないかと言いたくなる。

 そもそも「企業風土」の問題は、今回の「不正経理疑惑」が発覚する前から社内外で指摘されてきた。永守氏の後継候補を次から次に外部から連れて来るものの、長続きしないことの背景には、永守氏のマネジメントスタイルの一部が時代に合わなくなってきたこともあった。社外取はそれを見抜けなかったのだろうか。