経営の中枢を知る幹部が明かした問題とは
元幹部A氏「ニデックでは今期の売上が足りないと、来期の売上を計上し、来期になるとその売上を戻していた」。ここからは売上高を二重計上していたのではないかと疑われる。
元役員B氏「ニデックでは設定される目標が高すぎるため、引当金の計上基準を緩くしたり、減価償却の時期を遅らせたり、時には、まだ製品を納入していないのに検収の時期(売上)を前倒ししたこともある」
A氏、B氏ともに、永守氏から直接不正をしろと指示されたことはないが、強いプレッシャーがあったことは認めた。そして、永守氏の評価が高いと見られる側近役員が永守氏の意向を忖度して永守氏以上に目標達成のために強いプレッシャーをかけてきたことも明かした。
B氏は「グレーな会計処理はリスクがあることを資料に記してオープンに説明したこともあったので、それを永守氏が全く知らないはずはない」とも語った。
経営中枢の内実を知る関係者C氏からはこんな証言も得られた。
「(21年に社長兼CEOに就いた)関潤氏が22年9月に辞任に追い込まれたのは経営方針を巡って永守氏と対立したことが一因。会計処理で関氏は車載事業関連で減損処理が必要なことを永守氏に説明したが、それが認められなかった。当時で処理すべき案件は1000億円を超えていた」
第三者委員会は、関氏や当時の関係者に説明を求めているようだ。ニデック内に新設された特別調査支援室も、岸田社長名で第三者委員会への協力は退任時の秘密保持義務の対象外とすることを関係者に伝える手紙を送っている。
ある関係者によると「不正経理疑惑」の内実を知る複数のキーマンが調査に応じる意向を示しており、1月に入り、ヒアリングが始まったという。
今後は第三者委員会が問題の核心にどこまで迫り、それを世間にどう公表するかが問われてくる。12月19日に辞任した永守氏についてニデックは「本人の意向」であることを強調したが、「永守氏は一連の問題により詰め腹を切らされる前に辞めたのではないか」と見る向きもある。
筆者が取材する限り、永守氏が負うべき結果責任は大きいと思う。永守氏も辞任時のコメントで、自らの責任を一部認めていると受け止められるコメントを発している。
「不正経理の疑義について、ニデックのこれまでの企業風土に問題があるといわれることがある。私は、創業者としてニデックを企業風土も含めて築き上げてきたが、ニデックの企業風土が云々と言うことで、世間の皆様方にご心配をおかけすることになった。この点、申し訳なく思っている」