NPB球団だけが“損”をする構図に解決策は?
かつて、メジャーの駐日スカウトは「日本のドラフト候補は獲得しないという“紳士協定”がある」と話していたが、近年のメジャーは、日本の有望なアマチュア選手の意向もあって積極的に契約に動くケースが出ており、NPBのトップ選手についても、育ててきた日本球界へ譲渡金を渡すことによる“共存共栄”を是とはしていないともとれる。
ポスティングシステムによるメジャー移籍は、NPB球団が容認するまでの期間が短くなってきている。しかし、日本球界からは、トップ選手の流出に球界から危機感を露わにした言動はほとんどみられない。そんな中で、譲渡金も少なくなってきては、NPB球団にとってのうまみがますますなくなってしまう。
ファンも背中を押すようになったトップ選手のポスティングシステムによるメジャー移籍の流れを今さら食い止めることは難しい。
実際にメジャーでプレーした成績に応じて次の契約オファーを出せるメジャーリーグ球団や、メジャーへ移籍してさらなる大型契約を目指す日本選手と比べ、NPB球団だけが“損”をする構図が浮き彫りとなった2025年オフのポスティング移籍劇に、有効な手立ては見つかりそうもない。
田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。


