山本投手の12年は別格としても、ポスティングシステムで近年に契約したケースでは、鈴木誠也選手が2022年からカブスと5年総額8500万ドル(当時のレートで約100億円)、吉田正尚選手が2023年からレッドソックスと5年総額9000万ドル(同約123億3000万円)とそれぞれ大型の長期契約で合意している。

 鈴木選手の場合、広島に譲渡金として1462万5000ドル(同約17億円)、吉田選手が所属したオリックスへはさらに高額の1537万5000ドル(同約21億円)が支払われている。

 今オフのケースで、3選手の中でも最も高額だった岡本選手の譲渡金ですら、円換算では吉田選手と変わらないものの、ドル換算では低い金額となっている。

 メジャーからすれば、長期契約にはけがのリスクが伴うことに加え、日本選手が長いスパンで安定して結果を残すことへの不安もあるだろう。実際、吉田選手は契約期間中だが、出場機会に苦戦し、トレード要員として報じられることが多い。

 こうした点が短い契約年数になった背景として挙げられる一方、選手からすれば、メジャーで活躍すれば、契約満了と同時にFAとなり、まだ若い年齢で新たに長期の大型契約を勝ち取ることができるメリットも生じる。

メジャーリーグ全体で広がる契約期間の短期化

 村上選手や今井投手の争奪戦に名前が挙げられながら、獲得に至らなかった球団が、メジャーでの活躍次第で「次の契約」に狙いを定める可能性もある。選手サイドもそれをわかった上で、年俸ベースを譲らずに契約期間を短くし、今井投手の場合はオプトアウトをつけたともみてとれる。

 東京スポーツは、米CBSスポーツ(電子版)が予想ほどの大型契約にならなかったことを取り上げた分析記事として「長期契約を避けるというリーグ全体の構造的変化を挙げた。近年は短期契約にオプトアウト条項を組み込む形が主流となり、日本人選手もその潮流の中で現実的な契約を受け入れる形になったと結論付けている」と紹介する。

 日本のメディアも、今回の譲渡金が予想よりも少なくなったことについて、「メジャー各球団が譲渡金の支払いに慎重な姿勢を取っている可能性がある」(サンケイスポーツ)、「選手本人にとってはメリットがあるが、送り出すNPB球団にとっては穴を埋めるための補強などに回すことができる譲渡金が少なくなる」(スポーツ報知)などと指摘する。

 メジャーにとっては、選手との契約以外に費用がかかるNPB球団への譲渡金は決して歓迎できるものではないというのが本音だろう。実際、譲渡金の仕組みは、メジャー主導で変更されてきた。今オフの傾向には、そのルールの中でさえも、低く抑えようとする意図がみてとれる。