中間選挙を念頭に一打逆転を探るトランプ氏だが…

 一連のトランプ氏の政治行動は、すべて2026年11月の中間選挙対策と考えていい。米連邦議会の下院の全議席と、上院の全議席の3分の1が改選される一大イベントである。

 ここでトランプ氏率いる共和党が、上下両院でともに全議席の過半数を握られなければ、トランプ氏の大統領としての威厳は大幅に低下し、2028年11月の次期大統領選挙までの2年間は、「レイムダック(実力のない権力者)」として、余生を過ごすことになる。

 支持率低迷に悩むトランプ氏にとって、ベネズエラ攻撃は一打逆転を狙った“政治ショー”の側面もあったのではないか。

 麻薬密輸の元凶・マドゥロ氏を拘束して法で裁き、世界最大の埋蔵量を誇るベネスエラの石油インフラを復旧させれば、米国内のガソリン価格の大幅低減も期待できる。トランプ氏の支持母体「MAGA(アメリカを再び偉大な国に)」の有権者に対するアピールは絶大だ。

 1月5日に英ロイターが行った世論調査では、ベネズエラ攻撃を「支持する」が33%、「支持しない」が34%と拮抗。だが、アメリカがベネズエラに深く関与することに「懸念する」が72%に上り、共和党支持層に限っても54%が懸念を表明している。

 MAGAの岩盤支持層は、「とにかくアメリカは海外ではなく、国内に目を向けるべき」が基本理念。これを考えると、最近のトランプ氏の戦略は、昨年のイラン・ナイジェリア攻撃、そして今年のベネズエラ攻撃という具合に、むしろ「世界の警察官」への復活を想像させる振る舞いが少なくない。これはMAGAにとっては矛盾した戦略とも言える。

 ベネズエラ情勢も、好転する保証など一切ない。こうなるとMAGAの離反も想像に難くなく、トランプ陣営はますます苦戦を強いられそうだ。

 中ロ両国は、この矛盾を突いてトランプ政権にあの手この手で揺さぶりをかけてくる可能性が高い。その時、米中間選挙で好成績を叩き出したいトランプ氏が、中ロに対して、通常では考えられないような大幅譲歩(バーゲン・セール)を行う懸念もあるだけに、日本を含む同盟国にとっても予断を許さない局面が続く。