「世界の警察官」の役目から下りたオバマ米大統領

「われわれの税金を遠く離れた砂漠の民主化に使い、米国境や道路は放置された」とMAGA支持層に訴えてきたトランプ氏は「ベネズエラを民主化するためではない。われわれの生活を脅かす麻薬と移民の元凶を取り除き、盗まれた石油を取り戻すために行くのだ」と強弁した。

 ネイション・ビルディング(国家建設)を目的とした米国の介入は第二次大戦後の日本・ドイツでは成功したものの、失敗に終わった例の方が多い。フィリピン、ベトナムだけでなく、21世紀に入ってアフガン、イラクから撤退を強いられた悪夢は記憶に新しい。

 マドゥロ氏拘束作戦は米国の新しい国家安全保障戦略の「実験場」としての意義を持つ。シリア軍事介入を土壇場で避けたバラク・オバマ米大統領(当時)が「世界の警察官」の役目から下りたのに対し、孤立主義者とみられていたトランプ氏は「西半球の地主」になると宣言した。

 米国は中東や欧州に関与してきたが、第2次トランプ政権は遠くのウクライナやパレスチナ自治区ガザの火事より隣の家ベネズエラからの麻薬・難民流入を防ぐことを優先した。これは米国のリソースを自国に近い裏庭に集中させる「戦略的収縮と集中」を意味する。