AI導入が進まない本当の理由
従来は、プロダクトを横展開し、数を売ることで成長するモデルが主流でした。しかしAIは、業務ごとに最適解が異なります。
そのため、初期導入段階で深く入り込む人材がいないと、解約率が高くなるのです。
FDEは、顧客定着率を高め、プロダクト改善のフィードバックを持ち帰る役割も担っています。
日本企業にとっても、この考え方は無縁ではありません。
AI導入が進まない理由の多くは、技術不足ではなく、責任の所在が曖昧なことにあります。例えば、誰が現場で判断するのか、誰が失敗を引き受けるのか。
FDEとは、その問いに人で答える仕組みだとも言えます。
ここまでが、FDEという概念そのものです。
このFDE的思想を、最も徹底して実践してきた企業がパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)になります。
データ分析企業のパランティアは、ペイパル(PayPal)創業者として知られるピーター・ティール氏が中心となって立ち上げた企業です。
ティール氏は一貫して、テクノロジーは中立ではなく、現実の権力構造や国家の意思決定に直接関与すべきだという立場を取ってきました。
リベラルなシリコンバレーの空気とは距離を取り、国家、安全保障、秩序といったテーマを真正面から扱う姿勢は、ドナルド・トランプ大統領支持という政治的立場とも重なります。