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増え続ける特殊詐欺と日本の問題
特殊詐欺の報道が続いています。2024年の特殊詐欺被害額は警察庁のまとめで約718億8000万円に達し、認知件数も2万1043件となっています。
特殊詐欺が怖いのは、被害者の不注意が原因だからではありません。気をつけていても被害に遭ってしまう構造になりつつあることです。
特殊詐欺は犯罪であると同時に、詐欺を働く人間にとっては通信と金融と行政の設計の弱点を突く“ビジネス”でもあります。
冒頭の数字を見ると、これは個人の努力で解決できる範囲を超えつつあると感じます。金融機関の窓口や家族が被害を食い止める人海戦術的な状態が長く続くほど、犯罪者が勝つ確率は上がっていくでしょう。
特殊詐欺の事件では、話を簡単にしない方がよいと思います。
日本人が騙されやすいからという説明は分かりやすい半面、米国では連邦捜査局(FBI)のIC3(Internet Crime Complaint Center、インターネット犯罪苦情センター)が、60歳以上の人から報告があった被害額を約34億ドル(2023年)と発表しています。被害額は前年の2022年比で11%も増加しています。
最新の2024年版の発表では被害額が約49億ドルとさらに大幅拡大しています。まさにうなぎ登り状態です。
英国でも金融業界団体の報告で、年間の詐欺被害が10億ポンド規模に上ることが示されています。
詐欺が増えている現象そのものは世界共通です。それでも日本で深刻化する危険性があるのは、いくつかの条件が重なり、詐欺の効率が上がってしまう環境ができやすいからだと考えられます。