20年以上前からFDEの考え方を取ってきた
PayPal時代、金融という最も規制が厳しく、不正と戦わざるを得ない現実の中で、ソフトウエアが抽象論では通用しないことをティール氏は体感しました。
机上で完結する理想論ではなく、現場で機能するかどうか。その思想が、パランティアの徹底した現場主義につながっています。
パランティアは、FDEという言葉が生まれる以前から、エンジニアを前線に配置する企業でした。
同社は創業当初からソフトウエアを売るのではなく、意思決定能力を現場に届けることを目的としてきたのです。
そのために取った手段が、エンジニアの常駐です。
パランティアでは、エンジニアが顧客の組織に入り込み、同じデータを見て、同じ会議に出て、同じ責任を負います。
机上で作られたAIモデルではなく、現場で使われる分析環境を一緒に作り続けるのです。
これこそが、フォワード・デプロイメントという同社独自の思想になります。
軍事、治安、製造、エネルギーといった分野では、現場は常に不完全です。データが欠けると、判断がブレます。その中でAIをどう使うかを、現場で決めるのです。
パランティアのエンジニアは、まさにFDEそのものだと言えるでしょう。