最愛の人をエイズで…

 名声を求めながら、プライバシーを切望、心がすり減っていく日々を送っていた彼にもやがて運命的な出会いが訪れる。

 ところが、幸せな日々も束の間、恋人は当時にはまだ治療法がなかったHIV陽性になり、エイズを発症し、急逝。

 同時期、所属レコード会社の幹部が自分のセクシュアリティに対して差別用語を使ったという噂に怒ったジョージはアーティスト個人の権利の確保のために裁判で闘い、敗訴。この時、まだ25歳。そして、あの公衆トイレでの露出事件が起きる。

記者会見するジョージ・マイケル(A PROTOCOL MEDIA PRODUCTION ©2022)

 その後のインタビューで、ジョージは自分がゲイであることを公にカミングアウト。シングル「アウトサイド」のMVではミラーボール付きの公衆トイレで踊りまくるというぶっ飛んだ自虐ネタで話題をさらう。

1998年、人気司会者マイケル・パーキンソンのインタビューに答えるジョージ・マイケル(A PROTOCOL MEDIA PRODUCTION ©2022)

「僕のセクシュアリティが僕の市場を奪ったと思われて、キャリアを終えるなんて、不本意だ。能力があるなら、カミングアウトはダメージにならないはず」

レコード会社に対する裁判で敗訴したときの記者会見=1994年(A PROTOCOL MEDIA PRODUCTION ©2022)
2002年、トレバー・マクドナルドの人気番組「トゥナイト」に出演、インタビューに応じるジョージ・マイケル(A PROTOCOL MEDIA PRODUCTION ©2022)