企業型DCのよくある失敗は?
今回お話しした企業型DCを放置するというのはありがちな失敗ですが、他にもありがちな失敗をご紹介します。
⚫️定期預金など元本確保型商品を選んでいる
企業型DCで運用できる商品は「定期預金」「保険(貯蓄型)」「投資信託」の3つです。具体的にどんな商品に投資できるかは、会社が利用している企業型DCの金融機関によって異なります。
よくある失敗として、どの商品を購入してよいかわからないからとりあえず定期預金を選択したというケースです。
確かに定期預金は、身近な金融商品でかつ、元本が保証されているので安心です。しかし、投資信託に比べて利回りが低く、大きくお金を増やせません。
また、定期預金や保険では、物価が上昇するインフレには対応できません。物価の上昇より金利の上昇が少なければ、定期預金や保険の資産価値は目減りしてしまいます。掛金の一部でもよいので投資信託で運用することをおススメします。
⚫️初期設定のまま一度も商品や配分を見直していない
自分で定期預金を選ばなくても自動的に定期預金で運用しているというケースもあります。なぜなら、企業型DCでは、よくわからないからといって投資先を選ばずにいると、自動的に「デフォルト商品」が買い付けられてしまうからです。
デフォルト商品とは、運用先の指定がない場合に自動的に買い付けられる商品のこと。定期預金や保険商品がデフォルトになっているケースが少なくありません。
仮に定期預金がデフォルト商品になっている場合、10年、20年経ってもなかなかお金は増えません。
定期的に自分が運用している商品や掛金の配分などを見直すことが大切です。
企業型DCを活用する際には、今回お話ししたような落とし穴が色々とあります。落とし穴にハマらないようにするためには、郵便で送られてくる書類に目を通すという習慣を身につけることが大切です。
企業型DCは老後のために会社が積み立ててくれた自身の大切な資産であることを忘れないようにしましょう。
高山 一恵(たかやま・かずえ) Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。最近の著作に『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』『はじめての新NISA&iDeCo』