確定拠出年金の運用方法法

 今回は企業型・個人型の確定拠出年金(DC)の運用方法と、離職や転職時の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)について、企業型DCを中心にみていきます。運用方法については、企業年金連合会が発表した「2018年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」(以下:実態調査)の数字を参考にしながら解説していきます。
 「そもそも確定拠出年金って何?」「個人型と企業型の違いが知りたい」という方は、iDeCoと企業型DCの違いは? 併用できるの?の記事も併せてご参照ください。

 ※本記事は2020年7月時点の制度に基づいて作成しています。

3~35本ある商品の中から投資先を選ぶ

 確定拠出年金の運用商品は、個々の運用管理機関(運用資産の管理、商品の売買の実行、情報提供などをする機関)が3本から35本以下の間で選定・提示する仕組みです。加入者はその中から、自分が投資したい商品を選ぶことになります。

 確定拠出年金の運用商品は、定期預金や保険などの元本確保型商品と、投資信託など収益型商品(リスクあり)に大別されます。

 実態調査を見ると、運用期間が取り揃えている平均選定本数は19.3本。なかでも16~20本の商品を取り揃えている機関が34.1%と最も多く、以下11~15本が22.6%、21~25本が21.5%の順になっています。ただし、選定本数の多寡が商品ラインアップの優劣を決めるわけではありません。

確定拠出年金の運用には「指図」が必要

 確定拠出年金では、加入者が「運用指図」をします。運用指図とは、運用管理機関が提示した商品の中から運用する商品を選択する行為のこと。掛金の範囲内で複数の商品に分散して運用するのが一般的です。

 iDeCoは制度を利用したい人が自主的に加入するので、運用指図を行わない方はいらっしゃらないかと思います。一方、企業型DCの場合は企業が規約を作り従業員を加入させますので、運用指図をしない方が時々いらっしゃいます。

DC加入後の受け身な姿勢は禁物

 加入者が運用指図をしない場合、指定運用方法を規約で定めているDCの場合は、指定運用方法で運用が開始されます。実態調査では、76.3%の企業が元本確保型商品を指定運用方法にしているというアンケート結果です。

 規約を定めていない場合は、未指図資産である現金資産(利息なし)で運用されます。現在の低金利下では運用指図をしませんと、貯金箱やタンスに掛金を貯めているのと同じことになってしまい、注意が必要です。

 ちなみに、実態調査による通算運用利回り(年率)の平均は2.3%。利回りの分布では、1.0%超~2.0%以下が34.1%、3.0%超~4.0%以下が31.0%、0.0%~1.0%以下が13.6%の順になっています。

確定拠出年金の通算運用利回り(年率)の分布
確定拠出年金の通算運用利回り(年率)の分布企業年金連合会「2018年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」を基にMonJa編集部作成