60歳直前のiDeCoは「暴落に備える短期運用」

 宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、間もなく60歳を迎える50代後半の人が、年金の受給が始まるまでにiDeCoのポートフォリオをどうすればよいかを考えていきます。

【質問】
 iDeCoで積立を始めて4年です。リスクを承知で、株式を多く配分してたので順調に増えちゃっているのですが、最近の株式市場は不安定で、マネー雑誌などを見ても「そろそろヤバイかも」などと書かれています。せっかくここまでプラスで運用できているのに、下落リスクが不安でなりません。もうすぐ60歳になる自分に、iDeCoの配分のメンテナンスなどについてアドバイスをください。

 以前に、53歳の公務員の方に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)のお話をしました。今回はさらに年上の、間もなく60歳を迎える方が対象となります。

 今回も、iDeCoのメンテナンスを中心に、具体的な運用ポートフォリオ(資産配分)について話していきます。

 米国株や日本株は、本当に金融バブルが崩壊して大幅下落はありえるのか? 万が一、大幅下落が起きた時、対処方法はあるのか? 今回の相談者のように、iDeCoで株式が多めの配分にしている方は、必ず知っておく必要があります。

 前回もお話ししましたが、ここからは私個人の考えを述べます。

 「日経平均株価は2021年中に大暴落はあるかもしれません。しかし、長期で見れば徐々に持ち直し、緩やかに上昇を目指す」

 と思っています。少々楽観的と思われるかもしれません。

 新型コロナウイルスによって、経済のダメージは業種によって二極化されています。
 プラスの要素は、自動車産業などの製造業や、「巣ごもり消費」に関連する業種が比較的好調になってきたことです。逆にマイナスの要素は、サービス業や移動・旅行に関連する業種全般に、新型コロナが無期限の痛みを与えていることです。
 株価自体はコロナ禍からの脱却を織り込みつつあるようですが、新型コロナウイルスワクチンの普及や東京オリンピックの開催が、どれだけサービス業などの回復を後押しできるのか? 今のところは好調な業種とのバランスで、やっと日本経済全体が保たれていると感じます。ただし解散総選挙など政治家さんの行いによっては経済はどうなるのか? 不安定な要因もあり、2021年中に大暴落もあるのではという心配も残ります。

 しかしながら、人口減少による働き手不足や人口の高齢化が進む日本でも、人間が生きていく限り生活はあり、経済活動が生まれ、成長し続けます。企業もいっしょに成長していきます。そして、日本は人口が減少していますが、米国では人口増加率こそ徐々に低下しているものの人口そのものは今も増えています。世界の企業に注目しながら、iDeCoで「海外にお金を振り分ける」というのも、ひとつの手となるのではないでしょうか?