自動移換によるデメリットは?

 では、企業型DCの移換手続きを行わずに自動移換されてしまうと何が問題なのでしょうか?

 Kさんに以下の3つのデメリットを解説しました。

●運用することができない

 国民年金基金連合会に自動移換されてしまうと、その後は一切運用することができません。現金として管理されるため、普通預金でも付くわずかな利息さえもらうことができません。

●増えることがなく減っていくのみ

 自動移換中は、様々な手数料が発生します。まず、自動移換の際に4348円、そして、それ以降も4カ月経つと管理手数料として毎月52円かかります。

 管理手数料は年間では624円とわずかな金額ではありますが、自動移管中は、一切運用できないため運用益もなく、利息も付かず、ただ資産が減るだけになってしまいます。しかも、こうした放置年金を減らそうと、2026年4月から管理手数料は、毎月98円に引き上げられる予定です。

●加入期間にカウントされない

 企業型DCは原則として10年以上加入しないと60歳からお金を受け取ることはできません。60歳になった時点での通算の加入者期間が10年に満たない場合、受給可能年齢が加入年数に応じて延期されてしまいます。自動移換された後の期間は加入者期間とみなされないため、受け取りの開始時期が遅くなってしまう可能性があります。

●年金を受け取れない

 企業型DCまたはiDeCoに移換するまで、老齢給付、障害給付を受け取ることができません。

 私の説明を聞いて、これまで自分が積み立ててきたお金を受け取れない可能性があるのか!と、Kさんはとても動揺していました。