今後の展望と課題:実装フェーズでの真価

「AIブーム」の第1幕がGPUの争奪戦だったとすれば、現在進行中の第2幕は、その演算能力をいかに具体的な産業応用(物理世界の設計やシミュレーション)に落とし込むかという「実装と実行力」のフェーズにある。

 今後の課題は、この提携による技術的な成果が、実際の開発現場でどれだけスムーズに普及するかだ。

 既存のCPUベースのワークフローに慣れ親しんだエンジニアリング現場にとって、GPUベースの設計環境への移行は、システムの大幅な刷新や新たなスキルの習得を伴う。

 エヌビディアにとっては、米国による対中輸出規制など地政学的な制約が依然として重荷となっている。

 欧米や中東といった規制対象外の市場でいかに「産業AI」の需要を掘り起こし、エコシステムを拡大できるかが、持続的な成長のカギを握るだろう。

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