ツイッターが創業期にRubyを採用

　Rubyは「人間に優しい言語」を目指して作られた日本発のプログラミング言語で、その思想は驚くほど世界に受け入れられました。

　特に象徴的だったのは、ツイッター（現X）の初期実装に「Ruby on Rails」が採用されていたことです。

　今では巨大企業となったツイッターが、創業期にRubyを採用したという事実は、シリコンバレーのエンジニアが日本製技術に寄せていた信頼の証だと言えます。

　Rubyはその後、GitHub（ギットハブ：ソースコードの保存、共有、共同開発をウエブ上で簡単に行えるようにしたプラットフォーム）の開発にも影響を与え、世界中のスタートアップが採用する基盤となりました。

　Rubyの価値は、美しさと扱いやすさにあります。複雑な技術を人間が理解しやすい形でまとめ直す力。

　これはフィジカルAI時代に決定的に重要な能力です。

　AIの推論モデル、センサー情報、制御ロジックが複雑化すればするほど、それを現場エンジニアが扱いやすい形に抽象化するレイヤーが必要になります。

　Rubyの思想はそのままフィジカルAIプログラミングの未来像に重なってきます。そして、ここで再び日本の現場力が効いてきます。

　現場を理解し、人間の動きを丁寧に観察し、必要な抽象化を見抜く力。

　抽象化とは机上の演習ではなく、現場の細やかな洞察から生まれます。
日本の技術文化は、この抽象化のセンスを非常に豊かに育んできました。

　TRONのリアルタイム性とRubyの美学的な抽象化は、一見別世界の技術に見えますが、実はどちらも現場と人間への深い理解に根ざしています。