世界的なAI支出は310兆円規模へ

 米調査会社のガートナーによると、サービスやインフラを含む世界全体のAI関連支出は、2025年に前年比約50%増の1兆5000億ドル(約230兆円)に達する見込みだ。

 さらに2026年には2兆ドル(約310兆円)を超えると予測されており、ソブリンAIへの投資が市場全体を押し上げる構図が見て取れる。

今後の課題:電力不足と米国支配の壁

 一方で、ソブリンAIの実現には高いハードルも存在する。

 第1に、膨大な計算資源を稼働させるための「電力」の確保だ。

 データセンターの急増に伴う電力需要を、脱炭素の目標と両立させながらどう賄うかは、韓国を含むすべての国にとって喫緊の課題となっている。

 第2に、基盤技術における米国の圧倒的支配だ。

 韓国が構築を目指す「自律的エコシステム」であっても、その心臓部であるGPUは依然としてエヌビディア製に依存しており、米国の輸出管理規制や外交政策の影響を免れない。

 英国際戦略研究所(IISS)の専門家が指摘するように、真の自律性をどこまで確保できるかは、米国の出方次第という側面は否めない。

 小国ながら強力な製造業とテック基盤を持つ韓国が、この「ソブリンAI」のテストベッド(実証の場)として成功できるか。

 SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が指摘するように、その成否は同様の課題を抱える日本や欧州諸国にとっても、重要なベンチマークとなるだろう。

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