「アメリカは裏切るかも」と疑念を抱くマクロン氏
「脱欧・親露」を進めるトランプ氏に対し、欧州首脳は不快感をあらわにする。
仏AFP通信などによれば、12月5日、ドイツのワーデフール外相がNSSの中身に即座に反応。ドイツ現政権によるAfDの“監視”に対し、トランプ氏がNSSで「言論の自由や検閲、政治的反対意見の抑圧」と暗に非難した点に反論した。
「アメリカはNATOで最重要な同盟国であり続ける」と前置きしつつ、「表現の自由、自由社会の組織化などの問題は、ドイツに関して言うならば(NSSに)含まれないと考える(つまりドイツはこの指摘に当てはまらない自由な国)」と断言。
「われわれは今後これらの問題については、ドイツ国民だけで議論・討議できると考え、外部(つまりトランプ氏)からの助言は不要」と強調した。
ドイツのワーデフール外務大臣(写真:ロイター=共同通信社)
フランスのマクロン大統領も警戒を強める。独シュピーゲル誌によれば、NSS発表直前の12月1日、欧州主要国の首脳やウクライナのゼレンスキー大統領を交えて電話会議を開催した。
議題は11月からアメリカ主導で行われた、ウクライナ戦争の停戦交渉について。トランプ政権が提示する「プーチン案丸のみ」の停戦案への対応について話し合ったようだが、シュピーゲル誌は、独自入手した議事録をもとに、この時マクロン氏が「領土問題でアメリカはウクライナを裏切りかねない」と、ゼレンスキー氏に忠告したと報道した。慌てたマクロン氏は直後に完全否定し、火消しに大わらわだ。
フランスのマクロン大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(2025年12月1日、写真:ゲッティ=共同通信社)
会議に出席したドイツのメルツ首相も「アメリカはウクライナと欧州を駆け引きに使っている」と述べたようだ。
NATO内でも特に親米のポーランドも、トランプ氏に異議を唱える。
英ロイターによれば、今年9月に発生したロシアのドローンによるポーランドへの領空侵犯に関し、「(ロシアの)誤りの可能性がある」としたトランプ氏の発言に、ポーランドのトゥスク首相は、SNSで「ドローンの領空侵犯が間違いだったと願うが、これは『間違い』でないことをわれわれは知っている」と、トランプ氏の「プーチン擁護」を完全否定した。