(写真:Monkey Business Images/Shutterstock)
特殊詐欺犯罪が止まらない。この7月に出された今年上半期における警察庁広報資料では、前年同期に比べて総認知件数、被害総額ともに著しく増加している。
特殊詐欺等の犯罪を実行するには、闇バイトの存在が欠かせない。昨今の闇バイトは、より巧妙な募集がなされている。加えて、聞きなれない「詐欺犯罪等の支援」は、小遣い稼ぎの感覚で手を染めやすいためか、闇バイトの実行犯よりも検挙人数が多い。誰しもがトクリュウ犯罪に巻き込まれる可能性があるのだ。
今年12月5日「首都圏で相次いだ強盗事件を巡り、昨年10月に千葉県市川市で女性が暴行を受け現金などを奪われた事件を首謀したとして、警視庁など4都県警の合同捜査本部は5日までに、強盗傷害と住居侵入の容疑で、住所職業不詳の福地紘人容疑者(26)ら男4人を逮捕した」。闇バイトの首謀者逮捕は珍しい(時事通信 12月5日)。
筆者が調べたところ、2010年から昨年まで、毎年2000人以上が詐欺や強盗などの闇バイトで逮捕されている(令和6年の特殊詐欺の検挙件数は6,576件、検挙人員は2,274人。中枢被疑者の検挙人員は50人で、総検挙人員に占める割合は2.2%)。
闇バイトの「対価」ももらえず懲役16年判決
これだけ逮捕されても、特殊詐欺等の犯罪は減る気配がなく、今年7月に出された今年上半期における警察庁広報資料をみると、「特殊詐欺の認知件数は13,213件(+4,256件、+47.5%)、被害額は597.3億円(+369.4億円、+162.1%)と、前年同期に比べて総認知件数、被害総額ともに著しく増加」とある。
強盗などの強行犯は報道されなくなったが、詐欺犯罪は静かに増え続けている。筆者が懸念するのは、アクセシビリティが顕著な「闇バイト」と「詐欺犯罪等の支援」である。
冒頭で言及した「首都圏で相次いだ強盗事件」では、闇バイトの対価ももらえず、使い捨てにされた挙句、千葉県の市川市と白井市の事件で実行役を担った闇バイトの男性(22歳)は、強行犯として有罪となり、懲役16年(求刑懲役20年)の判決を言い渡されている。
闇バイト実行犯は、匿名・流動型犯罪グループ(以下、トクリュウ)からすると使い捨ての駒でしかない。逮捕されたら、人生がゲームオーバーとなる。

