ただ、闇バイトに関しては、その犯行に至った経緯によっては預貯金口座が開設される可能性がでてきた。
衆議院法務委員会の藤原規眞委員は、刑務所等出所者が預貯金口座を持てないことで正業に就けない場合、再犯に至る可能性があることから、以下の質問をしている(217回国会3月12日)。
「法務省と金融庁が令和6年の4月に、一定の保護観察対象者について預貯金口座の開設を支援する旨の周知依頼をした、その成果を質問主意書で問うたんですけれども、政府答弁は、(成果を)承知していないというものだったんですね。
これら要請の成果を政府としては把握していない、あるいは今後も把握するつもりはないということなんですかね。現状、データをお持ちなら教えていただきたいと思います」
この質問に対する法務省の答弁は次のようなものであった。
「現に協力雇用主の下で就労し、社会復帰を目指しているものの口座開設を拒否されている保護観察対象者等に対し、令和6年4月から、法務省と金融庁が連携して口座開設支援策を実施しております。具体的には、金融機関に対して、過去の前歴等だけではなく現在の状況も踏まえた口座開設の判断がなされるよう、保護観察所の保護観察官等が金融機関の窓口に同席するなどして、保護観察等に係る事項や就労状況等について情報提供を行うこととしております。
今委員から御質問ございましたが、令和6年4月1日から令和7年1月28日までの保護観察所における本支援策の実績を確認したところ、本支援策によって口座開設に至った事例はこれまでのところございませんでした」
法務省が支援してもなおハードルが高い闇バイト実行犯の口座開設
国の口座開設支援制度はあるが、実際のところ口座が開設できた刑務所等出所者は皆無であることから、闇バイト実行犯等の預貯金口座の開設は、ハードルが高いことが分かる。
たとえ、国が銀行に口座開設を依頼しても、銀行は民間企業だから「契約自由の原則」を盾に取られたらどうしようもない(契約の相手方を選択する自由等を指す)。預貯金口座の開設を軽く考えてはいけない。
特殊詐欺等の実行犯募集は、姿かたちを変えて行われている。休眠口座を高く買い取るなどの誘惑も多い。安易な気持ちでこれらの誘惑に乗ると、取り返しがつかないことになる。何かと物入りの年末年始、人生を安売りしないよう、気を付けていただきたい。



