特殊詐欺を“助長する”犯罪
実は、表面的な闇バイト従事者以外に、筆者が注意を促したいカテゴリーがある。それは、特殊詐欺を助長する犯罪である。
具体的には、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等である。これが特殊詐欺を助長する犯罪とされ、令和6年中に5,029件、3,523人が検挙されている(令和7年2月 警察庁長官官房発表)。
闇バイトが直接的に犯罪の実行役となるのに対して、特殊詐欺を助長する犯罪は、直接に犯罪関与が無い分、違法性の認識が薄いのかもしれない。
しかし、「休眠口座を売れば小遣いになる」「休眠口座を高く買い取ります」などという甘言にのり、犯罪組織に銀行口座を売却してしまい、取り返しがつかない事態に陥る人が後を絶たない。
警察庁は2025年11月28日、公式X(旧Twitter)で、「口座を売ることの危険性についての動画」を投稿した。
SNS上では「振り込み詐欺の被害額が請求されることにもなり得る」「使わない口座でも絶対に売ってはいけない」といった警告の声が広がっており、安易な口座売買が取り返しのつかない結果を招くという(TRILL NEWS 2025年12月3日)。
全国銀行協会が公開している啓発コンテンツ動画では、「口座を売った。それだけ」という認識であっても、その代償は重いものとなり得ます。本人は『ちょっとしたお小遣い稼ぎ』のつもりでも、犯罪に加担したことになり、人生を大きく変えてしまう結果につながりかねません」と警告する。
全国銀行協会の統計では、口座の不正利用で利用停止となったケースが12万3823件、強制解約などが6万6211件に上り、前年より高い水準が続いている。こうした状況は、口座売買問題の深刻さを示している。