“聖域”に踏み込んだ改革はできるのか
試合形式と会場を天秤にかけて、それでも9イニング制にこだわるのか。それとも、従来通りに猛暑の甲子園でのトーナメント開催を続けたいから、健康管理の観点から試合時間短縮のための7イニング制へ舵を切るのか。
こうしたポイントが、議論の焦点とならなければならない。
朝日新聞の記事によれば、最終報告書が「(7イニング制の)意図や有効性が十分に伝わっているとは言い難い」と指摘している点を紹介している。だが、この問題を扱う新聞各紙の報道をみる限り、“聖域”を守りたいからこその折衷案が7イニング制であるという“本音”を包み隠さずに明かしていないのだから、当然ではないだろうか。
12月6日付の朝日、読売、毎日、産経の各紙は、7イニング制に関する記事を大きく取り上げている。しかし、諸課題を扱う検討会議が「夏の大会の秋開催やドーム球場案など聖域を設けずに話し合った」ということに触れたのは、読売だけだった。このことに踏み込んだ読売の解説記事だけが「暑さ対策の最適解が7回制なのか」と疑問を投げかけている。
春、夏それぞれの大会に関わる毎日と朝日の記事では、毎日は、検討会議が歴史的見地から「甲子園球場で両大会を開催することが望ましい」と触れたことを紹介しただけで、朝日も「(全国選手権大会は)夏休みにやるのが今の時点では適当。そこでやるからこそ暑さ対策はきちんととらないといけない」という日本高野連の井本亘事務局長のコメントを引用するにとどめている。