かつては多くの日本人選手が目指したヤンキース。だが最近は日本から直接移籍した選手がいない。写真は2025年MLBア・リーグのディビジョンシリーズの始球式に登場した松井秀喜氏(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
日本球界からメジャーリーグへ移籍する選手の間では、大谷翔平選手らが所属するドジャースなど、西海岸の人気が高まっている。その一方で、かつて松井秀喜氏や田中将大選手(現巨人)が選んだ東海岸の大都市、ニューヨークに本距離を置く名門・ヤンキースは直近の10年、日本からダイレクトに移籍した選手がいない。
“西高東低”の潮流が続く中、今オフは、いずれもポスティングシステムでメジャー移籍を目指すヤクルトの村上宗隆選手、巨人の岡本和真選手、西武の今井達也投手の候補先にヤンキースが浮上している。
久々の日本選手の獲得はなるか。チームも2009年を最後にワールドシリーズ制覇から遠ざかる「東の名門」の動向に注目が集まる。
200億円を上回る契約総額の予想も!
メジャー移籍の情報がスポーツ紙をにぎわす時期になってきた。ポスティングシステムは11月1日に申請がスタート。すでに村上選手の国内手続きが完了し、メジャーリーグ機構(MLB)から全30球団に獲得可能選手として通知された。
サンケイスポーツは同7日付紙面で、村上選手に加え、巨人から移籍を容認された岡本選手、西武から10日に容認することが発表された今井投手を1面に大きな見出しで並べ、メジャーのデータ予測サイト「ファングラフス」の契約見通しを大々的に報じた。
記事によれば、同サイト「ファングラフス」は今オフにフリーエージェント(FA)となったトップ50選手の移籍と契約総額の予想。村上選手は全体12位にランクされ、7年総額1億5400万ドル(約240億円)、岡本選手も21位で4年総額7200万ドル(約110億円)となっている。今井投手についても、岡本選手を上回る20位で5年1億ドル(約150億円)と、いずれも大型契約の可能性が示唆された。
村上選手、岡本選手はともに日本球界を代表する強打の内野手だ。村上選手は2022年に令和初の三冠王を獲得し、本塁打王には3度、打点王にも2度輝いた左のスラッガーで、25歳という若さも魅力だ。
一方、29歳で右の強打者である岡本選手も本塁打王を3度、打点王を2度獲得して実績は十分。2人はそろって、2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表「侍ジャパン」で世界一を経験している。
サンスポは前日の6日付1面でも、村上の動向を扱った。
その中で紹介されたのが、ヤンキースの地元テレビ局「SNY」が獲得に乗り出すべき10選手の4位に、村上選手の名前を挙げたという報道だった。10選手の中には、村上選手と同じ一塁や三塁の現役メジャー選手の名前も挙がるが、村上選手の順位が上回っていた。
また、岡本選手も5位にランクインしている。読売新聞が報じた記事では、MLB公式サイトも、村上選手、岡本選手が適合する可能性がある球団の候補に、いずれもヤンキースを挙げている。
今井投手に関しても、日本の複数メディアが、全米野球記者協会所属のフランシス・ロメロ記者が、自身のXに「情報筋によると、ヤンキースは今井の獲得有力候補の一つ」と投稿したことが報じられる。今オフには、同じ西武から高橋光成投手もメジャー移籍を目指している。
