地理的に優位なドジャースの健闘

 近年は、豊富な資金を持つのはヤンキースだけではなく、地理的優位に立つドジャースなどが条件面で対抗できるようになっている。

 米経済誌フォーブスが今年3月に発表したメジャー30球団の資産価値ランキングで、ヤンキースは1998年の発表から続くトップを守ったが、14年連続2位のドジャースは前年比25%増と大きく伸ばした。

 ドジャースは、2025年から10年契約を結ぶ大谷選手の存在が、日本国内での球団イメージ向上やメディア露出による親和性を高め、その後の日本選手のメジャー移籍にも追い風となっている。

 一方、ヤンキースも2023年に会員制転職サイト「ビズリーチ」を立ち上げた実業家の南壮一郎氏が、日本人では初めて球団のオーナーグループに加わったことが日本国内でも話題を集める。

 日本球界のスター選手らの動向が大きく左右する今オフの移籍市場の勢力図において、ヤンキースの復権はなるか。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。