ちなみに、万延元年遣米使節を迎えに来たアメリカの軍艦・ポーハタン号、文久遣欧使節を迎えに来たイギリスのオーディン号は、彼らが築いた品川台場のすぐ近くに停泊していたとみられます。外国の巨大な軍艦に乗り込んだ彼らは、その甲板から自分たちが築造に関わった台場を見て、何を感じたでしょうか。
第三台場は現在の「台場公園」に
1854年に完成した6基の台場のうち、第一台場と第五台場は、東京港拡張のため「品川ふ頭」の下に埋没。第二台場は航路と重なるため撤去。第四台場は現在の天王洲アイルに石垣などわずかな名残をみることができます。
講演会の後は、『幕末の品川沖を船でたどる』と題して屋形船に乗り込み、冨川氏の解説を聞きながら現存する第三台場を海上から見学した(筆者撮影)
第三台場、第六台場の2基については、今も国指定の史跡として当時のまま残されています。第六台場は無人島で入ることができませんが、第三台場のほうは公園になっており、砲台も復元され、当時の姿を偲びながら散策することができます。
第三台場。現在は「台場公園」として開放されている(写真:共同通信社)
第六台場。こちらは無人島となっている(写真:Koutaro Makioka/a.collectionRF/アマナイメージズ/共同通信イメージズ)
品川台場については、昨年リニューアルしたばかりの品川歴史館に、当時の築造の状況を再現した精巧なミニチュア模型が展示されており、この大事業に関わった人々の、いまにも動き出しそうなリアルな様子を目で見て学ぶことができます。また、台場の展示コーナーの向かい側には、品川沖から出港した万延元年遣米使節に関する展示コーナーもありますので、ぜひご覧ください。
(外部リンク)品川区立 品川歴史館
お台場の美しいイルミネーションを満喫する前に、品川の海に眠る歴史と、この地で汗を流した若きサムライたちがいたことに、しばし思いを馳せていただければと思います。








