上位100社の売上高の半分を占める米国企業、伸びは3.8%と控えめ
ウクライナ戦争だけでなく、パレスチナ自治区ガザや台湾の問題など地政学的緊張の高まりで米国と欧州、特にドイツの軍需企業は売上を大幅に伸ばした。上位100社のうち39社は米国企業でその売上は世界全体のほぼ半分を占めるが、伸びは3.8%と控えめだ。
F-35は1.6兆ドルの維持費と引き渡しの平均238日の遅延、コロンビア級潜水艦は170億ドル超過、大陸間弾道ミサイル(ICBM)はコストが81%も増え、米国の軍需企業は規模こそ大きいが、遅延とコスト超過に苦しんでいる。
ロシアを除く欧州企業26社は13%の増収で、特に経済低迷に苦しむドイツの軍需企業は驚異的な36%増を記録し、一息ついた格好だ。
ロシア企業は制裁による輸出減少にもかかわらず、国内需要の急増で大きく軍需売上が増加した。ロシアは国家の優先順位を完全に切り替え、戦争経済に移行した。152ミリメートル砲弾の生産を22年の25万発から昨年130万発へと飛躍的に向上させている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。




