「輸出前提」の設計が多い韓国兵器
韓国航空宇宙産業はFA-50、超音速高等練習機T-50、訓練機のKC-100とKT-1、軍用ヘリのほか将来戦闘機KF-21の開発を手掛ける。現代ロテムは陸上兵器を中心に急成長した。K2、主力戦車K1A2の近代化、軽装甲車両、装甲回収車、水陸両用車を担う。
韓国は00年代初頭から輸出のため装備を標準化してきた。NATO規格で1~2年という短期間に大量生産でき、サプライチェーンを構築できる。
尹大統領(当時)は防衛装備のトップセールスのため自らポーランド、ノルウェー、マレーシア、中東諸国を回り、韓国防衛事業庁が政府間契約を支援した。
K2はモジュール式エンジン、K9はNATO弾薬と互換性がある。FA-50はNATO向けに換装可能で、K239は使用ロケットを相手国ごとにカスタマイズできる。欧州、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、インドネシアとも共同生産工場をつくる。
2025 年ソウル国際航空宇宙防衛展示会で現代グループによって発表されたポーランド版「K2」戦車。ポーランドは韓国軍需産業の主要輸出先となっている(写真:Igor Ivanov/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ)
一方、日本の防衛産業は量産体制のボトルネックを抱えている。日本企業の軍需売上は前年比40%増と急伸したものの43兆円という国内需要があるためで、専守防衛により輸出には慎重だ。防衛株が高騰しても多品種少量生産、サプライチェーンの細さという課題がある。
海自向け護衛艦や潜水艦は年1~2隻生産が限界で、弾薬生産ラインも細い。日本企業は縦割りで、防衛装備庁との調整は企業ごとに行われる。1機種当たりの生産規模が小さいため、調達単価が高くなり、生産設備への投資が回収しにくい。
しかも日本は防衛装備移転3原則で装備輸出に強い制限がかかる。