ウクライナ戦争で防衛・安全保障体制を再構築する欧州
スタンドオフミサイル、統合防空ミサイル防衛、無人機・宇宙・サイバー・電子戦のクロスドメイン強化のため、三菱重工業は12式スタンドオフミサイル大量調達・射程延伸、イージス艦・護衛艦・潜水艦の新造、F-35最終組立・整備、日英伊の戦闘機共同開発(GCAP)を担当。
陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」、三菱重工業が製造。奥の「03式中距離地対空誘導弾」は三菱電機が主契約者となり、三菱重工業、東芝が関わっている(写真:共同通信社)
川崎重工業はC-2輸送機・P-1哨戒機・回転翼機、海自艦艇の新造・改修を担う。
富士通は部隊同士をつなぐ通信システムや作戦を統合して管理する指令室のコンピューターのような役割で、三菱電機とNECは敵のミサイルや航空機を遠くから見つけるための大型レーダーをつくる。
ウクライナ戦争で欧州は防衛・安全保障の再構築を迫られる。北大西洋条約機構(NATO)欧州加盟国は再軍備に邁進する。日本製レーダーや電子機器、日英伊のGCAP、日英共同ミサイル計画といった形で日本企業は欧州の軍需サプライチェーンに組み込まれている。
伸びの主因はあくまで国内需要だが、中長期的には欧州向け協力でもプレゼンスを高めつつある。
韓国企業が伸びたのはウクライナ戦争とそれによる欧州再軍備が大きい。NATO加盟国が即納・大量調達を求めているのに米国・ドイツ企業が生産能力の不足で十分に応えることができないため、韓国がその穴を埋める形で短納期・量産力を提供している。