トップ100入りした中国企業の軍需売上が10%も減少した理由
中国は習近平国家主席が装備発注の腐敗一掃を優先した。ロケット軍(ミサイル部門)幹部が大量粛清され、航空宇宙・装備開発部門の人事が刷新された。
上位100社入りする中国企業8社の軍需売上は10%減少して883億ドル。上位100社にランキングされた国の中で最も大きな減少率だった。背景には中国の軍需調達プロセスで多くの汚職疑惑があったことが挙げられる。軍需売上10%減は政治浄化の副作用と言えるだろう。
汚職による混乱や経済減速を背景に、いくつかの主要な軍需契約が延期、取り消しとなり、昨年の軍需売上を押し下げた。中国最大の航空機メーカー、AVIC(中国航空工業集団)は8位で、1.3%減の203.2億ドル。軍用航空機の引き渡しペースが鈍化したのが原因だ。
中国最大の陸上兵器メーカー、NORINCO(中国兵器工業集団)は11位で31%減の139.7億ドル。上位トップ100社の中で最も大幅な減収となった。同社のトップ、軍需部門の責任者が汚職疑惑で解任され、いくつかの契約が延期・中止されたためだ。
中国の主要な宇宙・ミサイル製造企業、CASC(中国航天科技集団)は17位で16%減の102.3億ドル。同社総裁が汚職疑惑で解任され、軍事衛星とロケットのプロジェクトが延期されたことが影響した。
世界最大の軍艦・軍用造船企業、CSSC(中国船舶工業集団)は14位で、8.7%増の123.3億ドル。汚職疑惑の逆風の中で、CSSCは 軍艦需要で中国企業の中では数少ない増収となった。台湾問題をにらみ、空母、駆逐艦、潜水艦の建造による海軍強化だけは続行された。