最強の「侍ジャパン」、誕生なるか
大谷選手は自身初出場となった前回2023年大会では、“凱旋”した日本で空前の大フィーバーを起こし、米国で行われた決勝前のロッカールームでの円陣では「(対戦する米国代表のメジャーリーガーへ)憧れるのをやめましょう」とチームを鼓舞。世界一へ導いた。
また、大谷選手が大会2連覇へ向けて再び日の丸のユニホームに袖を通すことで、前回を超える「最強チーム」結成へ、他のメジャー組を刺激したことは間違いないだろう。
2023年大会時は、大谷選手が2022年11月17日に出場を表明すると、翌月6日にダルビッシュ有投手(パドレス)、同8日に鈴木誠也選手(カブス)とメジャー組の参戦表明が続いた。
前回のWBCでは、大谷選手がWBCへの出場を表明すると、ダルビッシュ有選手などが続いた(写真:AP/アフロ)
前回はまだ日本球界に在籍していた山本由伸投手、佐々木朗希投手(いずれもドジャース)、今永昇太投手(カブス)に加え、千賀滉大投手(メッツ)、菊池雄星投手(エンゼルス)、菅野智之投手(オリオールズからFA)の選出を期待する声もある。野手でも、鈴木選手のほか、レッドソックスの吉田正尚選手の名前が挙がる。
さらに、来季からメジャー移籍することが確実な今井達也投手(西武)、村上宗隆選手(ヤクルト)、岡本和真選手(巨人)らは移籍先の意向や調整が優先されるだろうが、前回大会では吉田選手が移籍1年目ながら代表入りしており、可能性はゼロではない。
WBC日本代表のメジャー組は過去、第2回大会と前回の第5回大会で最多5人(前回大会は鈴木選手が最終的にけがで辞退)だったが、こうした状況を踏まえると、今大会はそれらを上回る可能性が高いだろう。
日本が14年ぶりに優勝することのできた前回のWBC。2026年は前回を上回るようなチームとなるのだろうか(写真:アフロ)
さらに言えば、今回のWBCで日本出身のメジャー組が全て合流、出場することはかなわないにしても、実質的に日本代表の主力クラスは、メジャー組で編成できてしまう時代になったことは明白だ。これは、日本サッカー界が「いつか来た道」でもある。
日本プロ野球でもサッカー界と同じ現象が……
現在のサッカー日本代表の所属クラブはほぼ全員が海外だ。日本サッカーの実力が格段に上がった一方で、トップ選手や若手有望株の早期の海外リーグ流出の結果、国内のJリーグは空洞化し、馴染みの薄い海外組で占められた代表チームでは、ライト層のファン離れも指摘される。
日本よりも格上のリーグがメジャーしかない野球においても、野茂英雄氏のドジャース移籍から30年の節目となった現在、トップ選手のメジャー移籍は当然のこととして受け止められ、ポスティングシステムによる移籍時期も早期化している。
日本球界で頭角を現した数年後にはメジャーへ移籍する流れから、日本のプロ野球に在籍している選手は、捕手などの一部のポジションの選手を除けば、主力メンバーにほとんど食い込めなくなる。