GPシリーズ、フィンランド杯優勝した千葉百音 写真/共同通信社
(松原孝臣:ライター)
トップ通過でGPファイナルへ
フィギュアスケートのグランプリシリーズ最終戦、フィンランディア杯で千葉百音が優勝した。千葉にとってグランプリシリーズ初戦であったスケートカナダに続く優勝で、シリーズ上位6名が出場できるグランプリファイナルに、全体のトップで進出を決めた。
ショートプログラム2位で迎えたフリー。曲は『ロミオとジュリエット』。
冒頭のトリプルフリップ―トリプルトウループの連続3回転ジャンプの2つ目に「qマーク」(4分の1の回転不足)こそついたものの、その後はミスなく滑る。メロディーに乗り、気迫と情感のこもった演技を最後まで貫き、フィニッシュ。
千葉は氷上で何度もガッツポーズを繰り返す。
得点は144.33点、ショートプログラムとの合計は217.22点。スケートカナダで出した自己ベストの217.23点に迫る得点で優勝を果たした。
「観客の皆さんと一緒にロミオとジュリエットの雰囲気を共有できて、最高でした」「フィンランド初の思い出を優勝という最高の思い出で終えることができてうれしいです」
笑顔が弾んだ。
昨シーズンに続くグランプリファイナル進出だ。その中でも、一段、成長した姿を見せている。
「どこまではい上がっていけるか、自分次第だと思います。1日1日の練習を大切に、一歩一歩上がっていけるように頑張りたいです」
2025年11月22日、GPシリーズ、フィンランド大会、女子フリースケーティングでの千葉 写真/新華社/アフロ
今夏の公開練習ではシーズンへの抱負をこう語っている。今シーズンの歩みは、いや今シーズンに限らず、千葉は、一歩一歩着実に歩んできた。
ジュニアとしては最後となった2022-2023シーズン、全日本選手権5位、四大陸選手権3位と輝きを放った千葉は、シニアに移行したその次のシーズン、仙台市内のクラブから京都の木下アカデミーに拠点を移した。当初は体調の問題から思うような演技ができなかったが状態を把握し対処すると、本来の滑りを取り戻し全日本選手権で2位と表彰台に上がった。そして四大陸選手権で優勝、世界選手権の代表にもなり、7位の成績を残した。
シーズン後半の流れそのままに、昨シーズンは前半から上々の滑り出しを見せ、初めて進出したグランプリファイナルで2位、世界選手権では自己ベストを更新し3位と表彰台に上がった。
そして今シーズンの活躍がある。9月の木下グループ杯で自己ベストを更新すると先に記したようにスケートカナダでさらに更新、順位のみならず得点にも進化が表れている。
その原動力は、来年2月に控えるミラノ・コルティナオリンピックだ。以前の取材で、まず移籍した理由をこう話している。