「典型的な加害者は欧米諸国の男性」との調査も
こうした問題の根底にあるのは貧困だ。経済的に困窮している親が、子どもや幼い兄弟姉妹を性的虐待の対象とする犯罪に手を染めている。被害に遭う子どもたちには幼児や乳児も含まれているそうだ。
貧困と絶望が人々を犯罪に追い込み、被害の連鎖が続いている。子どもの性を売るのは、フィリピンなどアジアの国々に住む貧困層で、自分では直接、手を下すことなく子どもの性を搾取しているのは裕福な国に暮らす者たちだ。
ユニセフ(UNICEF)や国際司法ミッション(IJM)の報告によれば、フィリピンはライブ配信や画像送信を通じた児童搾取の最大の供給国の一つになっている。
ユニセフは、2021年だけで約200万人のフィリピンの子どもがオンライン上で性的搾取の被害に遭ったと推定している。また国際司法ミッションの調査では、「典型的な加害者は欧米諸国の男性」と指摘している。
フィリピンでこの種の犯罪が拡大している背景には、国民の90%以上が英語を話すという環境、約83.8%という高いインターネット普及率、国外からの出稼ぎ送金が多いため、国際送金ネットワークが整備されていることなどが挙げられる。
貧困とデジタル化の発展が交差するこの地で、いくつもの条件が複合的に重なり、オンライン児童性的搾取の震源地となっている。