フィリピンの法律では、このようなケースの場合、容疑者は現行犯で逮捕しなければならない。つまりこの場合、マイクとマリアの間で価格交渉がまとまり、マイクがオンラインで送金した時点で犯罪が成立、それによって逮捕・拘束できる。

 マイクが送金すると、数百メートルほど離れた場所で待機していた特別捜査官らが、マリアの家を急襲した。そこに地元警察や児童心理学者、ソーシャルワーカーたちも続く。

捜査官ら総勢20人ほどで突入

 総勢で20人ほどがマリアの家に突入し、23歳のマリアと、共犯とされた22歳の妹を取り押さえて手錠をかけ、SUVの後部座席に押し込む。2人とも裸足のままだ。

 同時に彼らは、寝ている赤ん坊や子どもたちを取り上げ、泣き叫ぶ子どもたちを車に乗せていく。パニックに陥ったマリアが「子どもたちはどこ!」「私の子どもは!!」と叫んでいる。DN紙のカメラマンはその様子を執拗に追い、映像に収めている。

 同紙のウェブ上では、その急襲時の様子をネット上で配信している。

 車中、マリアは妹と肩を寄せ合い静かに座っている。そこにDN紙の記者が問いかける。